
車検や定期点検を業者に依頼すると部品交換が勧められることがありますが、本当に必要なのでしょうか?
今回は「部品交換の必要性」「予防整備」「部品交換を行うべき時期の目安」について紹介します。
INDEX
車検時の部品交換は必要か
車検の際、ディーラーや車検業者から提案される部品交換は必ずしも必要ではありません。
中には交換しないと車検に影響するケースもありますが、業者に勧められた通りすべての部品交換を行わなくても基準に達していれば車検は問題なく通ります。
それではなぜ車検合格のためにマストではない部品交換が勧められるかというと、予防整備のためです。
ここでは、予備整備の意味や車検時に部品を交換するメリットとデメリットを紹介します。
車検時の部品交換提案は予防整備のため
予防整備とは、車の部品劣化や損耗による事故を防ぐために実施する整備のこと。
部品が完全にダメになってしまう前に交換し、車の健康状態を万全に整えます。
つまり車検業者やディーラーは、車検に通るために必要な点検だけでなくそれ以外の部分もくまなくチェックしているのです。
その結果、車検には影響がない部品交換を提案されることもありますが、不要な部品を売りつけようとしているわけではありません。
予防整備による部品交換のメリット
車検で部品交換をするメリットは、大きな故障や事故を未然に防げることです。
さらに車のコンディションが向上して快適に運転できるようになるだけでなく、売却時の査定額が高くなる可能性もあります。
とはいえ部品交換を勧められたということは、どこかの部品に何かしらの損耗が生じているということ。
それが原因で別の部品にまで負荷が加わり、トラブルにつながることも考えられます。
多少費用がかさんでも安全性を確保できるのであれば、部品交換に応じる価値はあるといえるでしょう。
予防整備による部品交換のデメリット
車検時に部品を交換するデメリットは、まだ使える部品も交換される可能性があること。
寿命が近い部品であれば問題ありませんが、とくに必要性のない部品まですべて取り替えていては費用が高くついてしまいます。
このようなデメリットを避けるためには定期的に車をメンテナンスし、交換が必要になりそうな部品を日頃から把握しておくことが大切です。
車検以外の点検でも部品交換が必要かチェックしよう
日常的な点検は部品交換の是非を判断するためだけのものではなく、車の持ち主に課せられた義務でもあります。
車検は国が定めた最低限の保安基準をクリアしているかどうか確かめるものなので、たとえ車検に通ったとしても次回の車検までの安全性が保障されているわけではありません。
つまり、車検以外のタイミングでも定期的に車を整備する習慣をつけることが重要。
そこで、ここでは車検以外で行える予防整備を紹介します。
不測の事態を避けて安全にドライブを楽しむためにも、日常的な点検と部品交換は怠らないようにしましょう。
定期点検
まずひとつ目に「定期点検」が挙げられます。
定期点検を実施することは法律で定められた義務です。
道路運送車両法第47条の「使用者の点検及び整備の義務」と第48条の「定期点検整備」に記載があり、法定点検とも呼ばれています。
自家用乗用車の場合は1年点検(26項目)と2年点検(56項目)とがあり、整備が完了するとフロントガラスに点検済みの証となるステッカーが貼られます。
定期点検はドライバーの義務ではありますが、仮に実施しなくても罰則は設けられていません。
そのためか「国土交通省の自動車点検整備推進協議会」が実施した平成29年度の調査によると、「まったくしない」と回答した人が全体の約4割という結果が出ています。
出典:平成29年度自動車点検・整備に関するアンケート_報告書
このように定期点検を行わない人も多いのが実情ですが、整備不良によって交通事故を引き起こす可能性は否定できません。
定期点検は人でいうところの人間ドッグだと考えて、不具合を早期発見するためにも忘れずに行いましょう。
定期点検を受けるには
定期点検は「整備工場」「ディーラー」さらには「ガソリンスタンド」で受けられます。
実施時期は自分で把握しなければなりませんが、ディーラーで購入した車であれば定期点検の通知が届くのでディーラーを利用するのがおすすめです。
定期点検を怠って万が一事故が起こった場合、メーカー保証の対象外になる可能性があるので注意が必要。
近場で定期点検が受けられる業者をあらかじめ調べ、時期が来たらいつでも実施できるようにしておきましょう。
日常点検
ふたつ目の予防整備は「日常点検」です。
これはそのままの意味で、ドライバーが日常的に行う点検を指します。
日常点検もまた道路運送車両法第47条の2「日常点検整備」という項目に記載があり、ドライバーに実施が義務づけられています。
日常点検には定期点検のように実施時期についての決まりはありませんが、ブレーキ液や冷却水の量など規定の15項目を目視で確認しておきましょう。
主な部品の交換時期の目安
ところで、車の部品はどのくらいの頻度で交換するのがよいのでしょうか。
ここでは、主なパーツの交換時期の目安について解説します。
部品の劣化具合は車の走行距離や使用状況によっても異なるので、目安よりも早く交換が必要になるケースもあります。
走行中に少しでも異常を感じたら速やかにプロに依頼し、必要に応じて部品交換を行ってください。
エンジンオイルとフィルター
「車の心臓」と呼ばれるエンジンを、正常に機能させる「血液」の役割を担うのがエンジンオイルです。
エンジンオイルは消耗品で、5,000~10,000kmを走行するごとに交換する必要があります。
車に乗る機会が少なく1年間で5,000kmに達していなかったとしても、半年に1度の交換がおすすめ。
エンジンオイルの交換と一緒に聞かれるのが「フィルターの交換」です。
これはオイルの不純物を除去する部品で、そのまま使っているとゴミが溜まり機能が低下。
するとエンジンオイルの性能も鈍ってしまうため、オイルを交換する際2回に1回はフィルターも交換しましょう。
タイミングベルト
「タイミングベルト」はエンジンの内部にあり、エンジンがきちんと回転を続けるために不可欠な部品です。
ゴムでできているため消耗しやすく、走行距離が長くなるほど劣化。
走行距離10万kmごとの交換が推奨されていますが、寿命が短いタイミングベルトは何の前触れもなく切れることがあります。
そのため、車検で交換を勧められたら10万km未満でも交換したほうが安全です。
タイヤ
車の足でもある「タイヤ」は、走行に欠かせない部品のひとつです。
地面と接しているため走行ごとに摩耗。
劣化が進んでいるにもかかわらず交換を怠れば、破裂や燃費悪化に繋がります。
「道路運送車両法」の保安基準では、タイヤの溝の深さが1.6ミリ未満になると整備不良と判断され車検を通りません。
タイヤの寿命は使用開始から5年程度とされていますが、それ以前でもひび割れや傷が目立っていれば急いで交換することをおすすめします。
ブレーキパッド
「ブレーキパッド」は、ブレーキの効きに影響を与える重要な部品です。
ブレーキを使うたびに擦り減っていくパーツで、摩耗が進むと走行中にブレーキから異音が発生することがあります。
「シャリシャリ」という音が聞こえ始めたら交換の時期と考えましょう。
走行距離でいうと、30,000~50,000kmが目安です。
ブレーキの不具合は大事故につながる恐れがあるため「ブレーキの利きが悪いかな?」と感じたら、早めに整備を行ってください。
バッテリー
「バッテリー」は、車全体に電力供給を行うとても大切な部品。
一般的にバッテリーの寿命は2~5年が目安とされていますが、車の使用状況によっても変わってきます。
寿命が近づいてくるとエンジンがかかりづらくなったり、ワイパーやパワーウィンドウの動きが遅くなってきたりします。
それらの症状が表れたらバッテリーが消耗しているサインと覚えておきましょう。
また、バッテリー本体の膨らみやバッテリー液の漏れが生じることもあるため、日常点検での目視確認を怠らないようにしてください。
車の走行距離が10万kmを超えると点検で部品交換費用が高くなる
車検でいざ部品交換をしようしたとき、一番気になるのはやはり費用です。
車検の費用は「走行距離が10万km以上になると高くなる」と言われており、不安になる人も多いかもしれません。
これは、各部品メーカーが10万kmを保証の条件に設定しているケースが多いため。
メーカーにもよりますが10万kmをめどに交換したほうがいい部品には、上記で紹介した部品のほか「ラジエーターホース」「プラグコード」「ブレーキホース」「ブレーキキャリパー」「スプリング」「ダンパー」などが挙げられます。
何万円もする部品を交換するとなれば、料金が一気に跳ね上がってしまいます。
そのような状態を避けるためにはメーカーの保証内容を確認しておき、保証が受けられるうちに部品も交換してしまうのが一番です。
一般保証であれば「新車登録から3年または走行距離6万km」。
特別保証の場合は「新車登録から5年間または走行距離10万kmまで」という保証条件が定められています。
保証期間中にできるだけメンテナンスをして消耗品が少ない状態にしておけば、10万kmを超えても部品交換も少なくて済み費用も多少は抑えられるでしょう。
ただし10万km未満であっても、必要であればメーカー保証を活用して部品交換することをおすすめします。
まとめ
車検時に業者から勧められた部品交換をすべて行う必要はありません。
中には、寿命がまだ残っている部品も含まれている可能性があるからです。
高価な部品を無駄しないためにも定期点検や日常点検を実施し、部品の交換時期にある程度の見当をつけておくようにしましょう。
部品交換を定期的に行っていれば、車検時の費用を抑えられます。
故障や事故を防ぎ、安全に走行するためにも日頃の点検を怠らないようにしてくださいね。

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