
車の「幌(ほろ)」は、トラックの荷台のカバーやオープンカーのソフトトップに使用されます。
衝撃や劣化に弱く、突然雨漏りするなど、修理が必要になることが多いのも特徴です。
ここでは、幌の修理に必要な情報について紹介します。
INDEX
車の幌(ほろ)とは?
幌は、雨などの悪天候対策や、荷崩れ防止のためにトラックの荷台のカバーや、オープンカーの屋根(ソフトトップ)のことです。
取り外し可能で強度のある生地が使用されていますが、車体のハードな部分に比べると耐久性に劣るため、経年による破れや裂けなどのダメージは避けられません。
一定の期間が過ぎたら修理や交換を行います。
幌の傷みを放置していると、サビやカビが発生するリスクが高まり、車そのものの寿命を縮めます。
車の幌に問題が生じて慌てる前に、幌を長持ちさせるコツや、修理の際に必要な情報を把握しておくことが大切です。
トラックの幌に使用される生地
トラックに使用される幌には、さまざまな種類の生地が使われています。
一般的な寿命は6ヶ月~5年程度と幅があり、一見似ている生地でも特性が異なります。
扱い方やお手入れ方法も違ってくるため、補修や買い替えを考えるうえでもそれぞれのポイントを確認しましょう。
エステル帆布
「エステル帆布」は、ポリエステルの糸で織られた布に、塩化ビニール樹脂を浸透させた生地です。
テント生地に使用されることからもわかるように、防水性、耐久性に優れ、縮みにくい特性を持ちます。
振動や擦れに強く、補修がしやすいため、メーカーの純正品にも使われています。
従来の製品では、表面にざらつきがあることで汚れが落ちにくく、カラーバリエーションも少なめでしたが、最近では、エステル帆布の表面を滑らかに加工したものが登場しています。
耐久性を保ったままで汚れが付きにくくなり、カラーバリエーションも豊富になっています。
ターポリン
「ターポリン」は、ポリエステルの糸で織られた布の両面に、塩化ビニール樹脂が塗布されている生地です。
完全防水で防炎性に優れ、軽量で汚れにくいため、屋外での使用に適しています。
安価に入手でき、カラーが選べるほか、断熱や遮光効果の高い種類もあります。
エステル帆布と比較すると擦れに弱く、強度は劣ります。
ラミネート加工されているため、ばたつきなどの衝撃があると繊維が剥離しやすくなります。
ポリエチレン
ブルーシートなどに用いられる「ポリエチレン」は、軽量で扱いが楽なうえ、非常に安価に入手できます。
頻繁に幌を買い替える場合に向いています。
その反面、耐久性は低く、他の素材と比較すると破れやすい点がデメリットです。
最近では紫外線による劣化を抑えたものや、遮熱効果の高いもの、耐久性が向上したものも登場しています。
オープンカーの幌に使用される生地
オープンカーの幌の生地は、大きく分けると「アクリルクロス製」と「ビニール製」に分けられます。
どちらも耐久性が高く、扱いの楽な仕様に刷新されています。
保管環境やお手入れの仕方にもよりますが、一般的な寿命は5~10年と言われています。
ビニール製
ビニール製の幌は、表面がポリエステル+コットン、裏面がコットンの2層構造になっています。
擦れに強くお手入れしやすいのが特徴です。
レザーやキャンバス生地のような風合いに加工されているものが人気です。
ただし、紫外線に弱く、経年劣化で変色したり、低温時に硬くなって亀裂や割れが生じたりするデメリットがあります。
アクリルクロス製
アクリルクロス製の幌は、クロス生地、キャンバス生地とも呼ばれ、上質な布の風合いが人気です。
アクリル繊維とコットンの間に防水層のラバーが入った3層構造になっているため、浸水の心配はありません。
低温でも硬くなりにくいなど、外部環境の影響を受けにくいのが特徴です。
幌の設置方式
幌を設置するには、車の構造や用途に応じていくつかのパターンがあります。
また、オーダーメイドでオリジナルの幌を作ってくれる業者もあります。
ここではトラックの幌について見ていきましょう。
ランカン式
「ランカン式」は、荷台の囲い(アオリ)に高さのあるランカンを取り付け、アーチ型の幌骨を複数組み上げる設置方式です。
幌の開閉は、リア巻き上げタイプと、リア絞りリングカーテンタイプ、左右巻き上げタイプがあります。
リア巻き上げタイプは、後方の幌を巻き上げてフックやバンドで固定する最も一般的なものです。
リア絞りリングカーテンタイプは、後方のみがリングカーテンで、開閉作業が地上でできるため、幌骨に高さのある場合に作業がしやすくなります。
左右巻き上げタイプは、左右の骨組みがあるため積み下ろしできる荷物のサイズは限られますが、車体側面での作業が可能です。
4本柱式
4本の支柱で幌を支え、左右と後方の3方向を開放できる設置方式が「4本柱式」です。
3方巻き上げタイプと、3方レールカーテンタイプ、左右跳ね上げリア巻き上げタイプ、左右巻き上げリアカーテンタイプがあり、用途や使いやすさに応じて選びます。
3方巻き上げタイプは、左右と後方の幌を巻き上げて開放でき、最もコストを抑えられます。
3方レールカーテンタイプは、左右と後方がレールカーテンで、スムーズに開閉が可能です。
左右跳ね上げリア巻き上げタイプは、左右の跳ね上げ部分が屋根として使えるため、雨や日差しを避けられます。
左右巻き上げリアカーテンタイプは、左右が巻き上げ式で、後方のみレールカーテンです。
その他の設置方式
他にも、ワンタッチで上下左右に開け閉めできるタイプの幌や、荷台より長いものを積む場合に便利な長尺窓付きの幌もあります。
さらに、業者によっては幌の内側に断熱シートを取り付けたり、幌骨の高さを調節したりすることも可能です。
車の幌を長持ちさせる方法
幌には寿命がありますが、少しでも長持ちさせることは可能です。
事前にすべきことや日常のお手入れ方法など、知っておいた方がよいポイントを解説します。
コーティングによる保護
車の幌は、経年により変色やヒビ割れが生じますが、コーティングを施せば寿命を延ばすことができます。
新車でも、あらかじめ幌のコーティングを行うことで高い撥水性と防汚性を発揮し、水分や油分による劣化、紫外線や日光による色あせ、亀裂やヒビ割れなどを防ぎます。
市販のコーティング剤を使って自分でコーティングを行うこともできますが、生地を傷める可能性があるため注意が必要です。
お手入れ方法
自動車の本体を洗車するように、幌も日常のお手入れが重要です。
トラック、オープンカーともに基本は水洗いで、汚れが付いたらすぐに落とすのがポイントです。
特に屋外に長く駐車する場合は、雨や砂埃だけでなく鳥のフンなどが付くことも多く、放置すると生地へのダメージが大きくなるため、定期的に汚れを落として素材への負荷を軽減させましょう。
しつこい汚れの場合は中性洗剤を薄めて使用し、洗い終わった後はしっかり乾燥させます。
幌専用のクリーナーを使うとさらに効果的で、生地が傷みにくくなります。
また、UVカットのスプレーを塗布すると、幌の劣化を防げるのでおすすめです。
車の幌の修理
幌が破損し、簡易的な補修をした場合、同じ箇所で再度問題が発生することがあります。
根本的な解決には専門の修理業者に依頼するのがおすすめです。
トラックの幌の修理
トラックの幌を修理する場合は、自分で行う方法と、プロに依頼する方法があります。
具体的には、破れの部分に表と裏から補修テープを貼ったり、布を当てて接着剤で固定したり、幌の生地を購入して全体を張り替えたりするのが一般的です。
破れの面積が広い場合や、幌のサイズがない場合は業者に依頼しましょう。
自分で張り替えを行う際は、法律で定められた車両の長さや幅、積載量などを守らなければならないため、幌や幌骨のサイズ、重さには気を付けましょう。
また、溶接を施さず蝶ネジなどで設置してある幌は、トラックの荷物扱いになり、強風などで落下、飛散した場合に罪に問われる可能性があるため、固定の仕方にも注意が必要です。
オープンカーの幌の修理
オープンカーの幌の修理は、生地だけを張り替える方法と、骨組みから新しく交換する方法があります。
純正品への張り替えや交換はディーラーに依頼可能ですが、型が決まっているうえ、カラーバリエーションが少なめです。
幌メーカーや修理の専門店に相談すると、社外品を使ったオーダーメイドで選択肢が広がります。
割れや破れの部分が小さければ、当て布や接着剤で応急処置ができます。
しかし、修理する面積が大きい場合や、ウィンドウ部分にくもりや損傷がある場合は、幌全体を張り替えます。
骨組みにサビがある場合は、骨組みごと交換が必要です。
また、ウィンドウ部分を従来のアクリル製からガラス製に替える、ヒーター付きのガラスにするなど、自分の希望に添った張り替えが可能な修理店もあります。
なお、車種や傷の位置によっては生地のみの張り替えができない可能性があります。
この場合、骨組みごと外して修理する必要があるため、通常より手間や費用がかかります。
幌の修理価格の相場
幌の修理価格は、業者によって大きな差があります。事前に修理価格の相場を把握するために、修理業者の公式サイトをチェックする、料金を一括で比較できるサービスを利用する、などの方法もおすすめです。
トラックの幌の修理価格
トラックの幌の修理を業者に依頼する場合、部分的な修理だと材料費を含め1万~3万円ほどの費用がかかります。
全面張り替えの場合は、幌のサイズによって1万台から20万円以上と価格に幅がありますが、一般的な軽トラックだと、生地で5万~7万円が相場とされています。
取り付けの工賃は3万円前後が一般的です。
オープンカーの幌の修理価格
オープンカーの幌の修理は、基本の施工料金が5万円前後、それに加えて幌の生地の費用や、部品の交換費用などがかかります。高級車を除けば、合計10万円前後が相場とされています。
張り替える生地によって価格帯に開きがあります。
まとめ
車の幌には様々な種類があり、オープンカーやトラックに使われるそれぞれの生地によって、耐久年数や修理費用が大きく異なります。
車のハードな構造部分に比べ、幌の劣化は早いため、日常のメンテナンスが特に重要な部分です。
車の幌に問題が生じた場合、どのような修理が必要なのか、費用はどのくらいかかるのかなど、相場を把握する意味でも、いろいろな修理店を比較してみるとよいでしょう。

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