
「ブレーキローター」は、安全なカーライフを送るためにとても重要な役割を持つため、日頃のメンテナンスが必要不可欠な部品です。
そこで当記事では、ブレーキローターの修理費用や相場などについて詳しく解説します。
ブレーキローターとは
「ブレーキローター」とは、自動車を減速または停止させるブレーキシステム「ディスクブレーキ」を構成する際に使用される、重要な部品のひとつです。
形は薄い円盤状をしており、真ん中に穴が開いています。素材は主に鉄・ステンレス・アルミニウムなどが使用されます。
ブレーキローターは、別名「ブレーキディスクローター」と呼ばれることもあります。
ブレーキローターのことを知るうえで、ディスクブレーキは欠かせない存在といえます。
ディスクブレーキを知れば、ブレーキローターの役割が分かる
ディスクブレーキとは、先述したように自動車を減速または停止させるブレーキシステムのことを指します。
まずは、ディスクブレーキがどのようにして自動車を停止させるのか、その仕組みから見ていきましょう。
ディスクブレーキの仕組み
車が走行する際、タイヤが回転すると同時にブレーキローターも回転します。
ブレーキローターの後部には、「ブレーキキャリパー」と呼ばれる装置が付いていて、その装置の中には「ブレーキパッド」と呼ばれる摩擦材と「ピストン」と呼ばれる押しつけ機構が入っています。
ここで車がブレーキをかけると、ピストンがブレーキパッドを押しつけ、さらに今度はブレーキパッドがブレーキローターを押しつけます。
このときに生まれる摩擦力によって、車は停止する仕組みです。
簡単にいうと、ブレーキローターという円盤をブレーキパッドが両側から挟み込む形で回転を止めているのです。
ブレーキローターの性能を見極める
走行中の車がブレーキをかけると、ブレーキローターにはかなりの熱が加わります。
この熱をいかに効率よく空気中へ放熱できるかで、ブレーキローターの性能が決まるといわれています。
では、どのようにしてブレーキローターの性能を見極めればよいのでしょうか。
ここからは、ブレーキローターの種類について解説していきます。
ブレーキローターの種類と性能の違い
ブレーキローターの真ん中には穴が開いていると述べましたが、実は真ん中以外にも穴が開いているものや、円盤の表面にスリット(溝)が入ったものなど、ブレーキローターにはさまざまな種類があります。
ここでは、その中から特に代表的なものを3つご紹介します。
1.ベンチレーテッドディスク
一般的な乗用車にて最も多く使われているタイプのブレーキローターが、こちらの「ベンチレーテッドディスク」です。
ベンチレーテッドディスクは、ブレーキローターを1枚ではなく2枚、隙間を空けて重ねて作られています。
さらに、その隙間には「フィン」と呼ばれる熱交換の効率を上げるための突起が多数設けられており、十分な強度を保ちながら空気の通りをよくし、熱を外へ逃がす仕組みとなっています。
2.スリットローター
スポーツ走行をする車に多く採用されているブレーキローターが、「スリットローター」と呼ばれるタイプのものです。
表面には放射状にスリットが掘られていて、このスリットのおかげで摩擦力が増え、車の制動力を向上させることができます。
また、摩擦によってブレーキパッドの表面が削れることで、パッドの表面が熱で炭化する前に剥がれ落ち、常に新品のような状態を保つことができます。
一方で、ブレーキパッドが削れることによって、ブレーキパッド自体の寿命が短くなるというデメリットもあります。
しかしながら、その点を差し引いても見た目のスポーティーさから、性能・デザイン性の両面を求める人たちに人気のあるチューニングパーツです。
3.ドリルドローター
国産車よりも輸入車(外車)での採用が多いブレーキローターが、こちらの「ドリルドローター」と呼ばれるタイプです。
ドリルドローターは、円盤部分に多数の穴が開いており、その穴のおかげで高い放熱効果を期待できるのが特徴です。
放熱効果だけで比べると、スリットローターよりも性能は高くなります。
一方、穴を多数開けたことでブレーキローター自体の強度が下がり、ブレーキローターが消耗してくると、クラッチ(ヒビ割れ)が入りやすいなどの欠点があります。
これを放置しておくと、そのうち割れてしまうので、こまめなメンテナンスと必要に応じた交換が求められます。
ブレーキローターの寿命
ブレーキローターの寿命は、車に乗る頻度やブレーキのかけ方などによって変わります。
一般的には走行距離が100,000kmに達したら交換するというのが、ひとつの目安とされています。
また、目で見て判断する場合、ブレーキローターの厚みが新品の状態から2mm~3mm程度減ったら交換する、という目安もあります。
ブレーキローターの表面には、「摩耗限界値(Min Thickness)」という最小の厚みの目安を示す数字が刻印されているため、それを確認するのもよいでしょう。
しかしながら2mm~3mmという厚さは、クレジットカード2枚分の厚み程度しかないので、素人目で判断するのは難しいところがあります。
寿命がくるまでブレーキローターを使い切ろうとせずに、定期的な点検と研磨を行い、必要であれば専門業者にて交換してもらうことをおすすめします。
寿命を超えた使用は厳禁
寿命を超えたままブレーキローターを使い続けると、ブレーキローターとブレーキパッドの摩擦が弱くなり、熱容量が低下します。
熱容量が低下すると、ブレーキローターとブレーキパッドに蓄積できなくなった熱が、さまざまな熱害を引き起こす原因となります。
代表的な熱害としては、ブレーキキャリパーの開き(ディスクを挟む圧力が均等でなくなり、制動力が分散するためブレーキの利きが悪くなる状態)や、ブレーキローターのひずみ・クラック・段減り・早期摩耗、ブレーキパッドのバックプレート(裏板)が湾曲することによる摩擦材の剥離現象などがあります。
これらの症状はそのまま事故に直結するため、寿命を超えたブレーキローターの使用は絶対に避けましょう。
ブレーキ鳴きはブレーキローターの交換のサイン
ブレーキを踏んだときにキーという嫌な音が鳴ったら、ブレーキローターに不具合が生じている可能性があるかもしれません。
ブレーキローターの表面に傷がたくさんついてレコードのようになっていたり、クラックが入っていたり、エッジのような段差または凹凸ができている場合、ブレーキローターとブレーキパッドの接触面が均一でなくなり、「ブレーキ鳴き」と呼ばれる現象が起きます。
このような場合、ブレーキローターの交換を強くおすすめします。
また合わせてブレーキパッドの点検・交換も同時に行いましょう。
車の制動力は、どちらか一方が万全な状態であっても、もう一方のパーツに異常が見られる場合、本来の性能を発揮することができません。
このことから点検と交換は、ブレーキローター・ブレーキパッドの両方をセットで行うのがベターです。
ブレーキローターの交換にかかる費用の目安
ブレーキローターの交換費用は、1輪あたり4,000円程度が相場といわれています。
ただし、交換費用とは作業工賃のことを指すので、ブレーキローター本体の購入費用は別途でかかります。
ブレーキローターの本体価格は、1輪あたり10,000円~20,000円程度のため、作業工賃と合わせると一輪あたり20,000円~30,000円程度が最終的な相場です。
ブレーキローターの交換は4輪まとめて行うのではなく、フロント側から先に交換していく傾向があります。
自動車1台すべてのブレーキローターを交換する場合、およそ60,000円~70,000円の交換費用がかかり、やや高額となります。
ブレーキローターの交換はディーラーやタイヤ専門店、ガソリンスタンドなどでも受け付けてくれます。
自分で交換できる場合は安上がり
ちなみに、ブレーキローターの交換は比較的簡単な作業のため、慣れている人なら自分で交換することも可能です。
インターネット通販でブレーキローター本体を購入すれば、とても安く済ませることもできます。
ただし、交換の際に点検整備記録簿への記載が必須となります。
ブレーキの不調は事故へ直結することが多く、車の中でも特に重要な部分のため、自信がない方は整備士や専門業者に依頼したほうが安心でしょう。
使用して間もないブレーキローターなら研磨がおすすめ
高価なブレーキローターや、購入して日が浅くあまり使用していないブレーキローターなどは、研磨することで一定期間であれば性能を保つことも可能です。
ブレーキローターの表面に付いたサビやクラック、ひずみなどの異常を研磨することで、新品の状態に近付けることができます。
研磨にかかる作業工賃は3,000円~5,000円程度で、さらに脱着工賃と作業前の点検費用がかかる場合もあります。
ただし研磨できる量には限界があり、ブレーキローターに刻印されている摩耗限界値を下回る厚さの場合には、研磨することはできません。
多くの場合、表と裏面でそれぞれ2mm程度が研磨できる限界であり、使用限界とされています。
研磨はあくまでメンテナンス手段の1つに過ぎません。
交換にはまだ早いものの性能は保ちたいという場合に、このような方法を取れることを覚えておきましょう。
また、ブレーキローターのサビがどうしても気になる場合、ディスク部分を塗装するという応急処置法もあります。
高熱を帯びやすい部分なので、塗装には耐熱塗料を使うようにしましょう。
まとめ
車のパーツの中でも特に重要な「ブレーキローター」。
独力でのメンテナンスも可能ですが、整備を間違えれば事故に直結する部分のため、あいまいな知識のまま修理をするのは非常に危険です。
ブレーキローターの修理やメンテナンスの際は、しっかりとした知識を持つ専門業者に任せるのがおすすめです。
もちろんドライバー自身も日常的に点検を行い、故障の兆候を見逃さないように努めましょう。

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