
車のラジエーターを、どのタイミングで交換すればいいのかご存じでしょうか。
ここでは、ラジエーターの重要性や、故障を疑うべき症状、メンテナンスの方法などをまとめました。
また、交換するときの流れや、プロに依頼するメリットなどについてもご紹介します。
車のラジエーターの必要性
車が走行するためのエネルギーを生み出しているのは、エンジンです。
人間でたとえるなら、エンジンは心臓のようなもので、故障すると車は走行できなくなります。
そのような大切なエンジンを、守るために存在しているのがラジエーターです。
ラジエーターの主な役割は、エンジンに過剰な熱を持たさないことです。
エンジン内部では、ピストンやクランクなどが絶え間なく動き続け、相当な高温になることも珍しくありません。
高温状態が続くと、オーバーヒートを引き起こし、最悪の場合エンジンが焼き付いてしまうのです。
こうした事態を回避するため、ラジエーターが設置されています。
ラジエーターには冷却水が入っており、それをエンジンに設けられた水路へ送り込むことで、冷やすのです。
ラジエーターは車の正面に設けられていることが多く、走行中の風を利用して、水路から戻ってきた冷却水を冷やし、再びエンジンへと送りこみます。
今の車のエンジンは、ほとんどラジエーターが付いている「水冷式」と呼ばれるものですが、ごくわずかにそうでないものもあます。
それにはラジエーターは付いていません。
ラジエーターの寿命
普通車なら、7~13年くらいが寿命といわれています。
軽自動車は6~10年といわれていますが、メンテナンスや車を運転する頻度などでも異なります。
頻繁に故障するものではありませんが、さまざまな要因により壊れることも少なくありません。
樹脂製のタンクに冷却水は入っているため、経年劣化によるトラブルが起きることもあります。
故障する原因
ラジエーターが故障すると、エンジンをきちんと冷却できなくなります。
その結果、オーバーヒートを引き起こし、エンジンが壊れる原因にもなるのです。
では、ラジエーターが故障する原因には、いったいどのようなものがあるのでしょうか。
冷却水による劣化
ラジエーターには、金属部品も使われていますが、冷却水をストックする容器は樹脂製です。
冷却水はただの水ではなく、主成分としてエチレングリコールが含まれます。
この成分には腐食性もあるため、少しずつ樹脂部分を浸食してしまうのです。
冷却水もれ
冷却水を送り出すための配管には、ゴム製のものもあります。
ゴム管は鉄管に比べて劣化が早いため、ひび割れや破れを起こし、そこから冷却水がもれてしまうことがあるのです。
先述の通り、冷却水には腐食性のある成分が含まれているため、それが本体や周辺の部品にダメージを与えてしまいます。
外部からのダメージ
車種によってやや異なるものの、ほとんどの日本車は、車体正面にラジエーターが設置されています。
走行時に風を受けることで、熱を持った冷却水を効率よく冷やすためです。
そのため、走行中に何かがぶつかるなどすると、大きなダメージが加わり、本来の性能を発揮できなくなるのです。
軽くコツンとぶつかった程度でも、ラジエーターには強い衝撃が加わっているかもしれません。
その結果、本来の冷却性能を発揮できなくなるのです。
こんな症状に注意
ラジエーターが、いきなり故障することはほとんどありません。
壊れる前には、何かしらの兆候があることがほとんどです。
知識として知っておけば、故障する前に対処ができるでしょう。
走行中に変な音が聞こえる
車で走行しているとき異音がするのは、たいてい何かしらトラブルが起きる前兆か、すでに起きているときです。
もし、走行中にチリチリと聞こえたのなら、配管から冷却水がもれているのかもしれません。
もれた冷却水が、エンジンや周辺の熱を持ったパーツにかかり、蒸発しているとこうした音が聞こえることがあります。
冷却水がもれているときは、独特の嫌な臭いもするので、併せて覚えておきましょう。
フィンの汚れがひどい
ラジエーターは、バンパーの上の隙間などから確認できます。
もし、波状のフィンの部分を目視して汚れがひどいと感じたときは、洗浄してキレイにしてあげましょう。
車体正面に設置されているため、ラジエーターには汚れが溜まりやすい傾向があります。
小さなゴミをどんどん拾ってしまい、フィンが目詰まりを起こしてしまうのです。
その結果、本来の冷却性能を低下させてしまい、エンジンのオーバーヒートを招いてしまう恐れがあります。
洗車場やガソリンスタンドにある、高圧洗浄機で汚れを落としましょう。
ただ、あまりにも至近距離から洗浄すると、フィンの曲がりや破損を招く恐れがあるため、そのあたりは注意してください。
熱を持っている
ラジエーターに手を近づけたとき、異様なほどの熱気を感じたのなら、不具合を起こしているかもしれません。
通常でも熱を持ちやすい部分ではありますが、あまりにもひどい場合には、機能の劣化やフィンの破損が可能性として考えられます。
水温計の表示にも注意
ラジエーターの異常が水温計に現れることもあります。
水温計の針や表示がH(高温)を示している場合は、液もれなどの可能性があります。
走行中に異常を感じたら、一旦停止して確認しましょう。
メンテナンスの方法
大切な愛車に長く乗り続けるためには、日ごろのメンテナンスが大切です。
特にエンジンの冷却を担うラジエーターは、とても大切なパーツであるため、定期的なメンテナンスを行いましょう。
冷却水をきちんと交換する
エンジンを冷やすための水路を行き来している冷却水は、時間とともに劣化が進みます。
冷却水は2年くらいが寿命といわれているため、1~2年の頻度で交換することをおすすめします。
交換により冷却水の品質を保つだけでなく、量が少なくなっていないかどうかも確認しましょう。
ラジエーターのそばには、リザーバータンクが設けられているので、まずはそこをチェックしてください。
リザーバータンクは、予備の冷却水をストックするためのものです。
ここに十分な量があれば、本体にも問題なく入っていると判断できます。
キャップをチェック
ラジエーターキャップは、ただのフタではありません。
パッキンとスプリングを使用した設計で、冷却水のもれ防止や内部の圧力コントロールを担うパーツです。
そのため、劣化が進むと、冷却水もれや圧力低下を招き、冷却性能にも影響を与えてしまいます。
交換の目安は5年といわれていますが、パッキン部分はゴムなので、劣化が激しいようなら早めに交換したほうがよいでしょう。
ボロボロになっている、腐食しているといった状態なら、5年を待たずに交換してください。
エア抜きを行う
冷却水を交換したときは、併せてエア抜きを行わなければなりません。
内部に空気が残った状態では、冷却水が熱を持ってしまう恐れがあります。
また、冷却水がキャップからもれてしまう原因にもなるため、注意が必要です。
エア抜きはセルフでも行えますが、一度もやったことがないのなら、専門の整備工場やガソリンスタンドに依頼しましょう。
交換の方法
ラジエーター本体を交換するときの、一般的な流れと方法をご紹介します。
セルフでも可能ですが、自信のない方や、今まで一度も車のメンテナンスをしたことがない方は、業者に依頼することも検討してください。
冷却水を全部抜く
車体フロント部、もしくは全体をジャッキアップします。
ジャッキが外れても危険がないよう、タイヤなどを敷いておくと安心です。
ラジエーター本体の下部にドレンプラグがあるので、ネジをゆるめて水をすべて抜き出しましょう。
しばらくすると、空気をかんでしまい出る量が少なくなるので、キャップを少しゆるめてください。
ゆるめると、水の出がよくなります。
本体の取り外し
ラジエーターは、小さなネジやボルトなどでシャーシに固定されています。
基本的には、それらをすべて外せば本体を車体から取り外せます。
管からも切り離してください。
なお、新たなラジエーターを取り付けるとき、ネジやボルト、コネクターなどが必要です。
なくさないよう、小皿などに入れて管理しましょう。
本体の取り付け
古いものを取り外すときと、逆の工程で取り付けます。
取り外すときの工程を動画で撮影しておくと、取り付けるときにそれを見ながら確認できます。
もし、ゴム管などが明らかに劣化しているのなら、本体と一緒に交換しましょう。
そのまま使ってしまうと、すぐにトラブルを引き起こす可能性があります。
冷却水を入れる
新しいラジエーターには、冷却水が入っていないので、入れてあげましょう。
途中で空気をかんでうまく入らなくなるので、エア抜きをしながら入れてください。
キャップからややあふれるくらいまで入れましょう。
業者への依頼がおすすめ
ラジエーターの交換はセルフでも可能ですが、手間と時間がかかります。
初めての方なら、休日を丸一日使っても終わらないかもしれません。
ネジやボルトの付け忘れ、締め忘れなどのリスクもあるため、基本的には専門業者への依頼をおすすめします。
車にとって重要なパーツであるため、間違った取り付け方をしてしまうと、エンジンの破損にもつながります。
走行中にオーバーヒートし、エンジンが焼き付いてしまうと、重大な事故を引き起こす原因にもなりかねません。
そのようなリスクを回避するためにも、交換はプロの業者へ依頼したほうがよいでしょう。
ラジエーター交換は、自動車の整備を行う工場ならたいてい引き受けてくれます。
定期点検や車検などのときに、併せて依頼するのもよいかもしれません。
プロに依頼すれば、短時間で間違いのない作業をしてくれます。
交換にかかる費用
ラジエーター交換にかかる費用は、大きく部品代と工賃に分けられます。
本体の価格は、車種によって異なりますが、1~6万円程度です。
これ以外にも管やキャップ、冷却水などの費用が加わることも覚えておきましょう。
工賃は、作業をしてくれる職人さんの手間賃です。
工賃も業者によって変わりますが、1.2~1.5万円ほどになることがほとんどです。
費用面が心配な方は、事前に複数の業者に見積もりをしてもらいましょう。
提示された見積もりの、部品と工賃の明細をきちんと確認することを忘れないでください。
まとめ
ラジエーターの寿命は7~13年くらいですが、さまざまな要因で劣化が進み、故障することも考えられます。
日ごろからあやしい兆候がないか確認し、少しでも違和感を覚えたら故障や不具合を疑いましょう。
セルフでの交換も可能ですが、プロに依頼したほうが確実です。
お金はかかりますが、間違いのない作業をしてもらえます。
複数社から見積もりをとることも、忘れないでください。

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