
車のパワーウィンドウが故障する原因や修理の費用相場、業者選びのポイントなどを詳しくまとめました。
パワーウィンドウの構造やパーツについても説明しているので、修理を検討している方は一度読んでみてください。
パワーウィンドウとは?
「パワーウィンドウ」とは、電気モーターの力により、ワンタッチでサイドガラスを昇降できるようにする仕組みのことです。
操作は通常、スライドドア部分の内側にあるドアスイッチ、または運転席にあるマスタースイッチで行います。
パワーウィンドウが開発される以前は、レバーをくるくると回して窓を開ける手動タイプのウィンドウレギュレーターが主流でしたが、電動のパワーウィンドウが開発されたことにより、窓の開閉が格段に楽になりました。
しかしその一方で、手動タイプとは違い、構造がやや複雑になるため、定期的な点検が欠かせません。
次の項目では、そのパワーウィンドウの構造について見ていきましょう。
パワーウィンドウの構造を知ろう
ここからは、ウィンドウを自動で昇降させるシステムの構造をかんたんに説明します。
まず、窓ガラスを開閉する際は、ドアに設置されているドアスイッチを操作します。
ドアスイッチを操作すると、モーターに電力が伝わり、「レギュレーター」と呼ばれる調節機を動かす動力が生まれます。
パワーウィンドウモーターは、スイッチとレギュレーターの接点となる「レギュレーターASSY」の内部に組み込まれています。
このレギュレーターASSYの中にはギアも組み込まれていて、ウィンドウを上下動させるための動力をレギュレーターに伝えています。
レギュレーターの構造は比較的シンプルです。
レギュレーターは、サイドガラスをアームで支え、ワイヤー、もしくはギアを使ってサイドガラスのスムーズな上下動を可能にしています。
パワーウィンドウのパーツの名称
ここからはパワーウィンドウのパーツの名称と役割について見ていきましょう。
パワーウィンドウモーター(電気モーター)
「パワーウィンドウモーター」とは、その名の通りパワーウィンドウを動かすために必要なモーターのことで、各ドアに設置されています。
このモーターは、モーター本体、パワーウィンドウECU(モーター制御装置)、コネクター、ギア(ウォームギア)など、複数のパーツで構成されています。
これらは、複数のパーツが組み合わされた状態のことを指す「ASSY(アッシー)」という単語をつけて、レギュレーターASSY(パワーウィンドウモーターASSY)と呼ばれる場合もあります。
ドアスイッチ
「ドアスイッチ」とは、各ドアに設置されているサイドガラスを開閉するためのスイッチです。
ドアスイッチは、ブランジャー、コネクターケース、コイル、レバーなど、複数のパーツで構成されています。
ワンレバータイプが主流で、通常は上に引く・下に押すの2段階でウィンドウの昇降を行います。
マスタースイッチ
「マスタースイッチ」とは、運転席のスライドドアに設置されているウィンドウを開閉するためのスイッチです。
普通のドアスイッチは1つの窓しか動かせないのに対し、マスタースイッチはすべての窓を動かせます。
通常は運転席ドア、もしくはコントロールパネルに設置されています。
レギュレーター
レギュレーターとは、窓ガラスを支え、スムーズに動かすための機構のことです。
レギュレーターは、モーターからの動力によりサイドガラスを昇降させています。
レギュレーターは、モーターとギアを内蔵するレギュレーターASSY、ガイドレールとガイドチャンネル、アームなどにより構成されています。
以前はワイヤーでウィンドウを昇降させるタイプのものが主流でしたが、ワイヤーは切れることがあり、現在は金属製のギアと樹脂製のローラーにより窓を動かすタイプのものが増えてきています。
ガラスラン(チャンネルゴム・ランチャンネル)
さまざまな呼び名があるこの「ガラスラン」というパーツは、ゴムまたは合成樹脂(TPO)でできた帯状のシールのことを指します。
「窓枠をぐるっと囲んでいるゴムの部分」と言えばわかりやすいかもしれません。
ガラスランは、ガラスとサッシの間の気密性を高めて雨風やホコリなどが車内へ侵入することを防ぎます。
また、走行時の振動を吸収したり、騒音を遮断したりする役割も担っています。
ガラスランはパワーウィンドウの仕組みの中でももっとも消耗しやすいパーツで、劣化すると窓の開閉時の滑りが悪くなります。
よくある故障と原因について
パワーウィンドウの構造を理解したところで、よくあるパワーウィンドウの故障とその原因について見ていきましょう。
パワーウィンドウが閉まらない
窓が開いたまま閉まらなくなる、途中で止まるなど、パワーウィンドウの故障のほとんどがこれです。
いくつかの原因が考えられますが、代表的なものはコントロールパネル、ドアスイッチ、モーターの歯車や取り付けのガタなどが原因となることが多いようです。
これらのパーツに故障などの問題が発生すると、仕組み自体が正常に動作しないので、パーツを新しいものに取り替える、もしくは適切に修理する必要があります。
ちなみに、意外と多くの人が故障だと早合点してしまうのが「ロック機能の解除し忘れ」です。
これは故障でも何でもないので、勘違いしませんように。
異音がする
パワーウィンドウから異音がする場合は、ガラスランが劣化していたり、レギュレーターが故障していたり、ドアの開け閉めの際の衝撃でパーツが脱落したりなど、さまざまな原因が考えられます。
素人では見極めが難しいので、車のプロである修理業者に一度見てもらいましょう。
スムーズに動かない・振動する
窓を開ける際に振動する、またはガクガクとしてスムーズに動かないようならレギュレーターに何らかの不具合が生じている可能性があります。
レギュレーターの中にあるアーム、またはワイヤーのどちらかに問題があることがほとんどなので、これらを交換することで症状が改善します。
パワーウィンドウ修理の費用相場
パワーウィンドウ修理にかかる費用は、故障箇所や内容によって差がありますが、だいたい3,000円~30,000円が相場だといわれています。
パワーウィンドウ修理の内容は、ほとんどの場合、パーツの交換です。
そのため、パーツの価格がかさむと修理代金も高くなります。
では具体的に、修理にかかる費用の相場をチェックしてみましょう。
スイッチの故障
スイッチが故障した場合は、スイッチをすべて交換する必要があります。
車種によりスイッチの値段は異なりますが、だいたい15,000円~30,000円が相場です。
同時にスイッチパネルも交換する場合、別途5,000円前後かかるものと思っておきましょう。
レギュレーターの故障
レギュレーターが故障した場合は、レギュレーター内部にあるアームまたはワイヤーの交換を行います。
パーツ交換の費用はだいたい10,000円~20,000円が相場だといわれています。
パワーウィンドウモーターの故障
パワーウィンドウモーターが故障した場合は、モーター自体をすべて交換する必要があります。
交換費用はだいたい25,000円~30,000円が相場だといわれていて、パワーウィンドウ修理の中でもっとも高額になります。
バッテリーの劣化
バッテリーが劣化したら新品のものと交換することで不具合を解消することができます。
バッテリー交換は、だいたい20,000円が相場です。
そのほかに500円~1,500円程度の作業工賃がかかります。
グリスアップ(潤滑剤の塗布)
グリスは古くなるとボロボロと崩れてしまうので、劣化してきたらグリスアップをします。
グリスアップの費用はだいたい3,000円~5,000円が相場だといわれています。
ガラスランの劣化
ゴム製のパーツであるガラスランは、特に傷みやすいので、窓ガラスが開閉しないなどの不具合が出る前に交換しましょう。
交換費用はだいたい10,000円~15,000円が相場だといわれています。
修理業者選びのポイント
パワーウィンドウの修理を業者に依頼する際は、できるだけ複数の業者に見積もり依頼を出すようにしましょう。
まったく同じ作業をするにしても、その業者ごとにパーツの仕入れルートや工賃、出張費もそれぞれ異なります。
1つの業者の見積もりだけを見て決めるのではなく、なるべく多くの業者に見積もりを依頼して、かしこくメンテナンスをしましょう。
また、修理を依頼する際は、故障箇所や故障の原因を、ある程度でいいので把握しておきましょう。
そうすることで値段交渉やサービス内容に間違いがないかを自分で確認可能です。
また、先述したように、単にロック機能の解除し忘れだったということもあるので、修理に出す前にしっかりと確認することが大切です。
修理代が高額な場合は乗り換えも1つの選択肢
基本的にパワーウィンドウはひんぱんに故障するものではありませんが、経年劣化による不具合は必ず出てきてしまいます。
ひんぱんにこわれるわけではない部品や仕組みに不具合が出るということは、すでに車も相当古くなっているということです。
そのため、パワーウィンドウがこわれたら、そのタイミングで車の乗り換えを検討してもよいでしょう。
修理費用の見積もりが全体的にやや高いと感じる場合は、修理ではなく車を乗り換えるのもひとつの手です。
愛着があって、同じ車に乗り続けたいと考えている人は、車のプロにしっかりとメンテナンスをしてもらいましょう。
まとめ
今回は、車のパワーウィンドウが故障してしまう原因や修理にかかる費用の相場、パワーウィンドウの構造やパーツに関する説明、修理業者を選ぶ際に気をつけたいポイントについて解説しました。
車は日頃のメンテナンスや取り扱いが何より大切です。
パワーウィンドウが故障してしまった場合は、修理工場への依頼を検討するとともに、車の状態によっては買い換えを検討してみてもいいでしょう。

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