使っているうちに汚れやシミができたり色落ちや色あせが生じたりしてしまったかばんを、元通りにすることはできるのでしょうか。
それを可能にするプロの修理業者の技を見ていきましょう。
INDEX
革のかばんにはお手入れが必要
革のかばんは、物にぶつかったり引っ掛かったりして傷ができていきます。
使わずにクローゼットの奥に保管しておいても革が乾燥して劣化していきますし、カビやシミも発生。
また生地の色落ちや色あせも気になります。
大事な革のかばんを長く使い続けるためには、かばんの定期的なお手入れが大切です。
ではお手入れにはどのような方法があるのでしょうか。
修理だけではシミは残ったまま
かばんに破れや穴、縫い糸のほつれやパーツの不具合などが生じた場合、まずは「修理」をする必要があります。
しかしかばんの修理だけでは付着した汚れや浮き出たシミは残ったままです。
革の色あせや色落ちも直りません。
そこで修理とは別にお手入れをする必要があります。
かばんのお手入れを検討するとき
お手入れの前にかばんが劣化する状態や原因を確認しておきましょう。
たとえばかばんのシミといってもその原因はさまざまです。
またシミの由来もカビによるものか、液体が付着してできたものかで対策方法も分かれます。
お手持ちのかばんにこれらの症状が起きていたら要注意です。
革の乾燥
かばんの革は使用状況や環境に合わせて水分を吸収したり放出したりしており、冬場の乾いた環境などにおかれると乾燥しすぎてしまう場合が。
またかばんをケアするために付けた油も時の経過とともに揮発していきます。
こうしてカサカサになったかばんは表面がざらつき、お手入れをしないまま放っておくとひび割れができることもあります。
色落ち、色あせ
かばんを外で使っていると日光に含まれる紫外線がかばんの染料を分解して、生地の色落ちや色あせを起こします。
日光に当たり続けた場合は1~2週間くらいで色落ちや色あせする可能性も。
また蛍光灯も紫外線が含まれているため、ライトの近くでの保管も退色を引き起こします。
かばんの黄ばみや汚れを落とす方法の詳細は、こちらの記事をご覧ください。
カビ
布地にしみ込んだようにできる白っぽいシミがカビです。
カビは高温で多湿な環境を好みかばんに付いた汚れをエサにして繁殖します。
革のかばんはタンニンや油脂などが含まれており、持った時に手の脂も付くためカビが発生しやすい環境にあります。
革製品にカビが生えてしまった時の自分でできる対処方法の詳細は、こちらの記事をご覧ください。
カバンのシミ
カビ以外によってもシミは生じます。
雨水に濡れたりかいた汗などが付着したりするなど、生地への液体の付着が原因です。
濡れた部分が乾いた後でその箇所が濃く変色してしまうのです。
症状が酷いときは、素材が硬化したりひび割れたりしてしまうこともあります。
コーヒーやジュースなど水以外のものが付着してしまった場合は、とくに対処が厄介です。
プロによるお手入れ
では、かばんの見た目を取り戻すにはどのようにお手入れすればよいでしょうか。
それにはかばんの「クリーニング」と「色落ちの補修」を行う必要があります。
クリーニング
かばんをクリーニングしてシミや汚れ、カビを落とします。
かばんの素材や汚れの原因の違いに応じてさまざまな方法でクリーニングを行います。
色落ちの補修
かばんを使っているうちに色落ちや色あせしてしまった箇所へ、調合した資材を塗って元のかばんの色の通りに補修します。
表面にできた擦り傷を直すのも色落ちの補修にあたります。
熟練した業者にお手入れをしてもらおう
かばんのクリーニングは自分で行うことができますが、自力での作業は手間がかかります。
力を入れて洗いすぎるとかばんの生地を傷めてしまうことに。
また洗剤のすすぎ残しも生地の変色の原因になります。
色落ちを直す場合に市販されている革用塗料をただ塗っただけでは、元の生地の色合いと違ったものになってしまうおそれがあります。
そのためこれらの作業を個人で行うのは、自信がない限り避けたほうがよいでしょう。
プロによるかばんのお手入れ
かばんを確実に直したい時は、専門のかばんの修理業者にお手入れを依頼しましょう。
プロの熟練の技術によってかばんのお手入れを行ってもらえます。
クリーニングの際は、そのかばんの生地に応じたクリーニング用の溶剤を用いて行ってもらえます。 また色補修の際にも、かばんの傷埋めや仕上がり時のツヤの調整を行ってもらえるのです。
プロの修理業者がどのように作業を行っているのか、具体的な手順を見ていきましょう。
クリーニングの手順
プロの職人がかばんをクリーニングしていく手順は、以下の通りです。
1.エアーを吹き付ける
クリーニングを始める前にエアーダスターでかばんについたゴミや埃を吹き飛ばします。
かばんの内側にたまったゴミや埃も念入りに払います。
2.溶剤をつけたブラシでこする
ゴミや埃を払い終えたら実際に洗っていきます。
ブラシに溶剤をつけ手でこすります。
溶剤はクリーニングするかばんの生地に合わせて配合したものを使用。
機械による超音波洗浄も可能ですが、布地を傷めないよう丁寧に手洗いします。
とくに汚れが激しい所は集中的にクリーニングを繰り返すなど、熟練したプロの手で細かな調整を行いながら作業を進めていきます。
クリーニングが終わったら浄化した水で洗浄。
3.かばんを保湿剤に漬ける
水洗いをしたかばんは、革の状態を保つための油分も洗い流されてしまった状態です。
このまま乾かすとかばんの表面はカサカサになってしまいます。
そこでかばんを容器に溜めた保湿剤に漬けてかばんに油分を補充します。
4.乾燥させる
軽く拭いた後エアーを吹きつけ水分を飛ばしていきます。
金属部分に水分が残るとサビの原因になるため、念入りに水分を飛ばします。
その後24時間程度乾燥させたら完了です。
色落ちの補修の手順
上記の手順でクリーニングは完了しました。
それではクリーニングしても残ったままの革の色あせや黒ずみを、プロの修理業者はどのように補修していくのでしょうか。
1.下地剤を塗る
クリーニングが終わったらかばんの状態を確かめます。
色落ちの補修が必要であった場合は、色を浸透させやすくして補修後の革の発色を良くする下地剤となる保湿剤を塗っておきます。
2.ヤスリで凹凸を削る
色の入り具合にムラができないようにするため、傷の周囲をヤスリで削っていきます。
こうすることで色を入れた時に均一に色が乗るようになるのです。
とくに傷みの激しい部分は目の粗いヤスリで削っていきます。
ヤスリをかけた部分は、革の表面が削られることで色が落ちて白っぽくなっています。
表面を一度更地の状態にすることで、そこに新たに色を乗せていくイメージです。
ヤスリをかけて生じた粉はエアーで飛ばします。
3.マスキングをする
色が付いては困る部分、すなわちかばんの革を縫うステッチ・金具・かばんの端のコバ部分を、上からテープで覆ってマスキングしておきます。
4.色資材を調合する
色資材を調合して色補修する箇所に合った色を作ります。
1つの色を作るために5~6種類の色を混ぜ合わせることもあります。
そうしてそのかばんにもっとも適合した色を作り出すのです。
5.ハケで色を入れる
準備が完了したら実際に色を入れていきます。
ハケを使って手作業で細かな力加減をつけながら、丁寧に作業を進めていきます。
はじめは傷の部分に色を乗せ修復し、その後全体を均一に塗っていきます。
ムラができないように手早く作業を進めます。
6.スポンジでこすって定着させる
ハケで色を入れた箇所をスポンジ研磨材でこすって資材を革に定着させていきます。
さらにスポンジにも資材を付け、細かくこすりながら色を付けていきます。
7.ステッチとコパに色を入れる
かばんのメインの部分の色補修が終わったらマスキングテープを剥がします。
残ったステッチとコパに色補修が必要な場合は、それらの箇所にも作業を施します。
8.乾燥させる
色を入れ終えたら一度乾燥させます。
乾いたら再び色を入れて乾燥させる手順を何回か繰り返し、色が元の革に馴染んで仕上がりが不自然でなくなったら完成です。
革のかばんを長持ちさせるための保管法
せっかくプロの修理業者にかばんのお手入れをしてもらっても、返ってきたかばんをきちんと保管しておかないとすぐにまた劣化してしまいます。
それではかばんを長持ちするように保管するにはどうすればよいでしょうか。
1.かばんを保管する前に簡単にクリーニングしておく
革製品は、表面の微細な毛穴から湿気や空気を吸収・放出しています。
汚れやほこりをそのままにしていると毛穴が塞がってしまうので、革内部に水分が過剰に溜まってしまいます。
ブラシやレザークリーナーで簡単なケアを行ってからかばんを保管してください。
2.生活動線の外に保管を
廊下やリビングなど人の行き来が多い場所は、バッグに人や物がぶつかる可能性も高くなります。
保管には不向きなのでクローゼットや戸棚の中に保管しましょう。
3.保管する場所の温度や湿度に気をつける
カビは以下のような環境で繁殖しやすくなっています。
- 温度が20℃~30℃
- 湿度が70%~80%以上
かばんを保管するときは、これらの条件に当てはまる高温多湿の場所を避けましょう。
4.保管時は紙の詰め物を
かばんを保管する前に中身を取り出してタオル、新聞紙・古紙や梱包材などを適度に詰めておきましょう。
湿気対策になります。
かばんの底やポケットに乾燥剤を入れておくのも効果があります。
ただし1~2ヶ月程度放置していると乾燥材や紙自体が湿気を吸収してしまうため、湿気対策の効果がなくなってしまいます。
適度に取り出して紙や乾燥剤を詰め替えましょう。
5.定期的にリフレッシュする
かばんの保管場所であるクローゼットや戸棚は換気しましょう。
また定期的に保管場所からバッグを取り出して、なるべく空気や風にさらします。
天日干しをすれば、太陽光に含まれる紫外線の殺菌効果でカビを殺すことができます。
まとめ
かばんの修理だけでは対処できない汚れやシミを取るクリーニング。
「色落ちや色あせに対して色の補修をする」というプロの修理業者による作業を見ていきました。
これらの作業で古くなったかばんも元のように蘇ります。
大事なかばんはいつまでも使っていきたいものです。
もし古くなってカビや汚れが酷くなったかばんを捨てようか迷われている場合、修理業者へお手入れに出すことも検討してみてはいかがでしょうか。
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