
ギターはとても繊細な楽器で、ささいなことでチューニングが合わなくなることがあります。
この記事では「ギターのチューニングが合わない原因や対処法」を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
INDEX
自力で解決可能かもしれない原因
チューナーを使ってしっかり調整しても、音が合っていないと感じることはよくあります。
それは多くの場合、チューナーに問題があるのではなく他の要因によるものです。
なかには修理に出さずとも自力で解決できるものもあります。
典型的な原因をいくつか紹介するので、当てはまるものがないか確認してみてください。
また、普段から気をつけることで演奏のレベルアップにつながるものもあります。
弦の押さえ方
ギターは弦を押さえる位置によって音の高低が変化する楽器です。
また、位置だけでなく力の加減も音に影響を及ぼします。
弦を押さえる時に力みすぎると音程が上がってしまうのです。
力まずに適切な力加減で弦を押さえれば、狂いのない音が響きます。
しかしこれが意外と難しいものです。
初心者がとくに気を付けたいのがコードを押さえる時でしょう。
「弦を押さえる指が痛む」「腕が疲れる」という人は、力加減が原因の可能性が高いので注意してください。
弦はしっかり押さえた方がよいと思われがちですが、実は指板につくまで強く押さえるのは正しくありません。
指を軽く押し当てるだけで大丈夫です。
フレットの近くを正確に押さえればそれだけで強い音が鳴ります。
バンドなどで活動していれば練習で2~3時間弾き続けるというのが当たり前ですが、長時間の演奏が難しいという人は力を抜いてみてください。
弦を強い力で押さえ続けていると手だけでなく全身に疲れが広がります。
体の不調の原因にもなり得るので、力加減はあらゆる面において重要です。
弦が古くなっている
弦は張った瞬間から劣化していくものです。
弾けば手の脂や汗がつき、空気中の酸素でさえ酸化の要因となるので触れずとも劣化していきます。
古い弦を使っているとチューニングが合いにくくなります。
張り替えてから3~6ヶ月程でチューニングが合わなくなると言われていますが奏者の力加減や奏法、弾く頻度などにも大きく左右されます。
張り替え時で最も頼りになるのは自分の感覚です。
古くなった弦はチューニングが合わないだけでなく、音が曇ったり引っ掛かりやすくなるといった傾向があります。
チューニングが合わない他にそうした違和感を覚えたら、弦が古くなっているサインかもしれません。
錆や変色、光沢が無くなっていなかなど見た目も弦の状態を判断する目安となります。
毎日のように弾いていると気づきにくいものですが、注意深く見てみると張りたての弦とは明らかに異なります。
今まで合っていたチューニングが合いにくくなってきたと感じたら、あらためてチェックしてみてください。
また「指板(しばん)」もギターの音を決める重要なパーツです。
交換のために弦をすべて外したタイミングで掃除するとより長くよい音を保てます。
指板は乾燥しやすい性質があるので、冬場などはオイルを塗って潤いを与えるようにしましょう。
弦を張ったばかり
真新しい弦もチューニングが合いにくいものです。
理由は、弦がある程度伸びないと音が安定しないためです。
チューニングしてから弦を軽く引っ張り、再度チューニングという作業を何度か繰り返すと次第に安定していきます。
とくにクラシックギターの「ナイロン弦」は、張り替え直後だとチューニングが合いにくいと言われています。
張り替えてから1週間は伸び続けるので、根気よくチューニングを続けなければなりません。
チューナーだけでは完璧なチューニングはできない
「チューナー」を使って完璧に音を合わせたはずなのに、どうもしっくりこないことがあるかもしれません。
それは耳がおかしいのではなく感覚が鋭いという可能性もあります。
チューナーは各弦の音を独立したものとしてチェックしています。
しかし実際のギターはそうではありません。
6本の弦が響き合うことで音楽を織りなしています。
チューナーはそうした音同士の関係性まではチェックできないのです。
そもそもギターに完璧なチューニングというものは存在しません。
あるコードにぴったり合ったチューニングをすると、別のコードで合わなくなってしまいます。
ぴったりと合わせたチューニングのことを「純正律(じゅんせいりつ)」といいます。
ギターは演奏中にチューニングを変更できない楽器です。
そのため純正律で一つのコードは完璧でも、他が狂っているという状態では音楽が破綻してしまいます。
そのためある程度の狂いには目をつむるしかありません。
狂いが各コードに平均的に行き渡るようにして違和感を極力抑えたチューニングを「平均律」といい、ギターだけでなく多くの楽器で用いられています。
前述の通りチューナーは弦同士の関係性までチェックできません。
そのため感覚が鋭い人の中には、チューナーを使って平均律で整えられた音をおかしいと感じる人もいます。
チューナーを使って音を合わせた後、自分の耳を頼りにチューニングしてみましょう。
耳と感覚を研ぎ澄ませていけばよりしっくりくる音が作れるかもしれません。
修理が必要かもしれない原因
自力で解決可能な原因を紹介しましたがそうではないものも数多くあります。
弦や奏者ではなくギター本体に原因がある場合です。
深刻なものは自力で解決できないので、原因をチェックしてみて修理に出すかどうかの判断をしてください。
ネックの反り
「ネックの反り」もチューニングが合わない原因となります。
大半のギターはネックが木製なので、気温や湿度などの外的要因によって反ってしまうことがあります。
季節の変わり目などはとくに注意してください。
ネックが反っているかどうかは、まず最もシンプルで簡単な方法でチェックしましょう。
重さでネックが反らないようギターを立てネックの裏側を手で支えます。
その状態で上から目視して確認してください。
それでもわからない場合は「タッピング法」というテクニックを使います。
ギターの1フレットと最終フレットを指で押さえ、その状態で12フレットと弦の隙間をチェックします。
0.2ミリ程度のごくわずかな隙間があるのがベストの状態です。
わずかな隙間がある時は、弦を軽く叩くだけで音が出ます。
隙間が広ければネックが弓なりに反る「順反り」、隙間が無ければ山型に反る「逆反り」という状態です。
軽微な反りであれば、ネックに埋め込まれた「トラスロッド」という鉄製の芯によって調整できます。
アジャストを時計回りに回すと逆反り方向に、反時計回りに回すと順反り方向にネックが動きます。
ヘッドにアジャストがあるタイプのものは弦を張ったまま調整できますが、ネックエンドにあるものは弦を外してからでないと調整できません。
手持ちのギターがどちらのタイプか確認してみてください。
一度に強い力が加わるとネックが負荷に耐えられなくなることがあります。
時にはネックが割れてしまうことさえあるほどです。
「トラスロッド」を一度に動かすのは1/8程度に留め、慎重に調整を行いましょう。
単純で軽微なネック反りであればこの方法で調整できますが、波打ちやねじれなど複雑な反りが起きているケースも珍しくありません。
かなりの経験を積まないとこうした症状を正確に判断することはできません。
少し調整してみて解消しない場合は、修理に出すのが無難でしょう。
費用も1,000円前後なので大きな痛手にはなりません。
無理をして自力で調整してネックが割れたりしてしまうと、比べものにならないほどの出費を強いられることになります。
オクターブ調整が合っていない
開放弦ではチューニングが合っているのに弦を押さえると合わなくなるという時は「オクターブチューニング」を試してください。
オクターブチューニングは、開放弦の音と12フレットの音を同じにする方法です。
通常のチューニングはヘッド部分で行いますが、オクターブチューニングはサドル部分で行います。
「エレキギター」はドライバーで簡単に行えます。
しかし「アコースティックギター」の場合は、サドルを削る必要があるため素人にはハードルが高い作業です。
そもそも、アコースティックギターでオクターブチューニングが必要になるケースはほとんどありません。
他の要因をチェックしてみてそれでも気になるようであれば、専門店に依頼してください。
その他の要因
ネック反りや劣化によってチューニングが合わなくなることは珍しくありませんが、ギターが最初から欠陥を抱えているというケースもゼロではありません。
「フレット」の作りが甘いといったものがそれにあたります。
フレットの山にしっかりとした高さがなかったり高さがバラバラだったりすると、弦を押さえた時に正しく鳴らない可能性があります。
チューニングが合っているのにコードの音が変だと感じた時は、フレットも確認してみてください。
他にも「ナット」や「ブリッジ」などに異常があり音が合わないというケースもあります。
ギターは非常に複雑な構造をしているので、一部におかしな箇所があるだけで音が大きく狂ってしまうのです。
昨今は安価なギターでもしっかりとした作りをしていますが、チェック体制が甘く粗悪品が紛れ込んでいる場合もあります。
そもそもの作りに問題を抱えていると、修理よりも新調した方が安上がりということにもなり得ます。
ギターを購入する際は、自分の感覚でしっかりとチェックしましょう。
中古品も同様です。
経験豊富なスタッフがすみずみまで確認して査定を出していますが、人間の行うことなので見落としがあるかもしれません。
もちろん「弾き続けるうちにギターのどこかに不具合が生じる」ということもあります。
上に挙げた要因をチェックしてもわからないという時は、修理店に持っていきましょう。
専門家が原因を特定し適切な処置を行ってくれるはずです。
まとめ
ギターは多くのパーツで構成され、さまざまな要因で音が作られています。
そのため些細なことで音に狂いが生じてしまいます。
おかしいと感じたら、まずはこの記事で紹介した要因をチェックしてみてください。
チェックを済ませ、自分では難しいと感じた場合や原因がわからない場合は専門家に委ねましょう。
無理して自分で対処しようとするとかえって事態を悪化させてしまう可能性があります。
大切なギターもプロになら安心して預けられるでしょう。

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