ギターのネックが折れる原因と予防法、そして折れた時の対処法

ギターのネックが折れる原因と予防法、そして折れた時の対処法

ギターの故障にはさまざまな種類があります。
その中でも「ネック」が折れるというのは最も重い症状の一つでしょう。
この記事ではネック折れの原因や、対処法などを紹介します。

ギターのネックが折れる原因

ギターの大部分は木で作られています。
そのため重厚な見た目とは裏腹に決して頑丈とは言えないものです。
長く使い続ければ不具合が生じるのは当然のことと言えるでしょう。
とくに細い棒状のネックは壊れやすい部分です。

ネックは細い上に半円状で厚みもありません。
形状の問題で脆さを抱えている上に、弦を張ることで強い負荷がかかります。
その力は「エレキギター」で約30~40kg、「アコースティックギター」で20~30kgといわれています。

また一本の棒にフレットを打ち込み指板(しばん)を貼るという加工を施しているため、最初の段階でも木材に負荷が。
そこにさらに別の要因が加わるとネックはあっさりと折れてしまうのです。
それでは、折れる原因と予防法をいくつか紹介します。

持ち運ぶときの外からの衝撃と予防法

ネックが折れる原因として最も多いのが、外からの強い力によるものです。
ギターは持ち運ぶことが多い楽器なので、ネックが折れてしまうような強い衝撃を受けるリスクも至るところに潜んでいます。

とにかくリスクを回避したいという人は、持ち運ぶ際にソフトケースではなく「ハードケース」を利用するとよいでしょう。
持ち運びの手間が増える上にソフトケースよりも高額ですが、リスクは格段に減ります。

徒歩や電車、バスなどで移動する際に自分で持ち運ぶときは細心の注意が必要です。
急がず慌てず時間の余裕を持って移動することもリスク回避に繋がります。

輸送中の衝撃と予防法

移動中よりも折れてしまうケースが多いのが輸送中です。
車で運ぶ場合はとくに気を付けましょう。

引っ越しなど他の大きな荷物と一緒に積み込むときは、ハードケースだけでなく衝撃を最大限に和らげる処置をすることをおすすめします。
差し支えのない距離であればギターだけは自分で運んでもいいかもしれません。

バンド仲間などと同じ車に乗って、スタジオやライブハウスに向かうという人もたくさんいることでしょう。
何本ものギターや機材が同じスペースに置かれているというのはやはり危険です。
とにかく車は揺れるものなので衝撃には十分に気を付けましょう。

置いているときのリスクと予防法

衝撃によるネック折れの原因でもっとも多いのが、立てかけていたギターを倒してしまうというケースです。
スタジオで練習していて一息つく際、壁やアンプに立てかけるというのはついついやってしまいがちですね。
不安定な姿勢なのでちょっとしたことですぐに倒れてしまいます。

休憩のために一度外に出るとギターを立てかけていたことも忘れてしまいがちです。
持ち主でなければ立てかけたことに気付いてすらいないかもしれません。
休憩を終え戻ってきたときなどがかなり危険です。

「ギタースタンド」に置いていたとしても、転倒防止のストッパーをかけ忘れているとすぐに倒れてしまいます。
非常にシンプルなものですがあるとないとでは大違いです。
スタンドの上に置いてしっかりと安定させ、ストッパーを掛けるところまで注意深く行いましょう。

ギタースタンドについては自宅でも注意が必要です。
とくに狭い部屋や、普段からよく行き来する場所にギターを置いているという場合は気を付けてください。
出来るかぎり転倒のリスクが少ない場所に置くというのも、ネック折れ防止に繋がります。

環境の変化と予防法

木材は気温や湿気の変化を受けやすいものです。
季節の変わり目など日常的な変化によるネック折れの確率はかなり低いものですが、普段の環境に気をつけることは大事です。

たとえば押し入れの中など湿気の多い場所に長い間しまわれていたギターを取り出し、何日も弾き続けるとネックから水分が流出してささくれが出来ることが。
これには「チップ」という名称があり、ネック折れの原因として知られています。

環境の変化によるダメージは、気づきにくいものですが確実に蓄積されていきます。
普段からの丁寧なメンテナンスと適切な環境での保管を心掛けましょう。
もちろん木で出来た他のパーツもダメージを受けますし、弦も湿気には弱いものです。

乾燥にも気をつけましょう。
ネック以外にも「トップが割れる」「ブリッジが剥がれる」といったことが起きるかもしれません。
こうした変化はエレキギターよりアコースティックギターの方が起きやすいと言われています。

ギターの保管には、湿度40~50%が適切とされています。
「湿度調整剤」と一緒にハードケースにしまっておけばその環境を作り出せるでしょう。
こちらはギター専用のものがあり、楽器店などで取り扱っています。

トラスロッド利用時のリスクと注意点

ギターのネックには「トラストロッド」という鉄製の芯が入っています。
ネックの反りを解消させるためにこれを回すことがあるのですが、一気に回しすぎるとネックが折れてしまうことがあります。
内側から強い力が掛かるためです。

一度に回すのは多くても90度、だいたい45度程度に留め慎重に調整するようにしましょう。
何年も回していないとネックも折れやすくなっているので、古いギターはとくに注意が必要です。

トラストロッドを回すだけであれば簡単なようにも思えますが、ネックの反りにもさまざまな状態があります。
それゆえ見極めと適切な処置には熟練の技術と経験が必要になります。
自信がなければ、自分で処置を行わず専門家に依頼する方が無難でしょう。

ネック折れの種類

一口にネック折れといってもさまざまな症状があります。
大きく分けると3種類あるネック折れのタイプを、一つずつ紹介していきます。

ヘッドの継ぎ目

ネック折れの中でも典型的なものです。
ヘッド部分に強い力が加わると折れてしまいます。
前述のように輸送中の衝撃や倒してしまった時のほか「演奏中にストラップが外れてヘッドから落ちてしまった」といったケースもあります。

とくにエレキギターの代名詞ともいうべき「ギブソン系のギター」で起きやすい症状です。
ギブソン系のギターは、ヘッドがネックに対して角度が付いており「ナット」の位置に弦による負荷がかかりやすくなっています。

同ギターのネックの素材として使われる「マホガニー」も決して強度が高いとはいえない木材です。
また古いギブソン系ギターの中には「スカーフジョイント」という木材を接着する工法を用いているものがあり、これも折れやすくなっています。

マホガニーが折れやすいとうことは、愛好家の間では広く知られています。
しかしギブソンで使われていることからもわかるように、決して悪いネックというわけではありません。
独特の温かみがある「トーン」は、多くのファンに愛されています。

逆にもう一つのエレキギターの代名詞ともいうべき「フェンダー系」は、ヘッドとネックが平行になっている上に段がついていて頑丈です。
素材の「メイプル」も非常に強度のある木材です。

「メイプル」の音には、マホガニーとは違う鋭く硬質な響きがあります。
もちろんこちらにもファンが多く優劣をつけることはできません。
しかしギターをはじめたばかりで音にはさほどこだわりがないという場合は、頑丈なメイプルを選ぶとよいでしょう。

木目と垂直に折れる

折れた位置に関係なく真っ二つという状態がこれです。
前述の通りネックには常に強い負荷がかかっています。
そこに別の要因で力が加わると耐えきれなくなり折れてしまいます。

どうしてもヘッドとボディの2点に力が加わることが多いため、このような折れ方も珍しくありません。
真っ二つの状態はかなり見た目のダメージが激しく、修復不可能かと思ってしまいます。
しかしまずは折れた状態のまま丁寧に扱い、速やかに修理に出すことが肝心です。

ひび割れ

完全に折れていなくてもネックにひびが入っているという状態は放置すべきではありません。
そのままにしていればいずれ完全に折れてしまいます。

程度にもよりますがヒビ割れた状態ではチューニングが合わず、演奏にも支障をきたします。
ひび割れに気付いたらすぐに対策をとりましょう。
完全に折れてから対処するより費用が安く済む筈です。

ネックが折れてしまったら

ネックが折れても「もう二度とそのギターを弾くことができない」と悲観することはありあせん。
多くの場合は修理によって元通り弾けるようになります。
しかし事態を悪化させる可能性が高いので、自力での修理はおすすめできません。

かならず専門家に依頼するようにしましょう。
症状によっては設備が足りず、専門家でさえもその場での修理ができないほどに大変な作業なのです。
素人ではどのような処置をすべきかの判断すらできません。

早めに修理する

まず折れてしまったらなるべく早く修理に出しましょう。
スピードが明暗を分けることは少なくありません。
できるだけ折れたときの状態をキープするようにしてください。

折れたネックは木材がむき出しになっています。
放置すればそこから変形し、折れた面同士が合わなくなってしまうかもしれません。
とにかく変化が起きる前に専門家の手に渡すべきなのです。

余計な応急処置はしない

繰り返すようですが応急処置だとしても素人の手出しは一切禁物です。
接着剤を使えば、その除去のために追加料金が発生することさえあります。
接着剤の残りかすなどが木材同士の密着を妨害してしまうことがあるからです。

接着だけで弾けるようになる場合もありますが、折れた箇所は脆くなっていて再び折れるリスクが高くなっています。
そのため専門的な修理が施されるケースがほとんどです。

ネック修理 2種類の方法

ネックを直すには二つの方法があります。
一つ目は折れてしまった面を綺麗にしてから「クランプ」という固定具でつなげるという方法です。
これは固定するだけなので比較的簡単な作業です。

しかし、折れた部分の断面を調整する必要がある場合は時間を要します。
周辺を削ってそこに新たな木材を入れて調整する必要があるからです。
修理完了まで1~3ヶ月ほどかかる場合もあります。

専門家の手によって修復されたネックは、以前とほとんど変わらぬ強度を取り戻し折れた箇所も目立たなくなっています。
補強材の使用や再塗装などギターの状態に合わせた処置を行ってくれるので安心です。

まとめ

ギターのネックが折れるのは、多くの場合突然のことなので動揺してしまうこともあるかもしれません。
しかし慌てる必要も諦める必要もありません。
専門家が適切な処置を行えば元通りに弾けるようになります。

すぐに楽器店や修理業者に相談しましょう。
またこの記事も参考にして、普段からネックが折れないような扱いも心掛けましょう。

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