iPhoneやMacBookといった電子機器の分解で新たな話題を発信し続ける「iFixit」は、誰でも簡単に書くことのできる無料のリペアガイドです。2016年9月に日本国内でiPhone7の分解を行ったiFixitは、同月にiPhone7防水性確認の水中充電実験にも成功し、斬新な発想と対応スピードにより世界メディアの注目を集めることとなります。また同年3月にはサイトの一部を日本語化していますので、iPhoneやMacBookの修理に悩む日本人にとっても馴染み深い存在になりつつあると考えて良いでしょう。今回は、電子機器の修理分解市場に一石を投じるリペアガイド「iFixit」について、徹底解説していきます。
iFixitの歴史とコンセプトとは?
世界の電子機器業界や修理市場で注目されるiFixitは、少し変わったきっかけで発足したWEBサービスです。
iBookの落下がきっかけ
電子機器の修理と分解で世界中をリードするiFixitは、創設者であるKyle Wiensが愛用のiBookを床に落としたきっかけで立ち上がりました。費用の削減目的でiBookの修理を自分で行おうと考えたWiensは、発売元のAppleがサービスマニュアルをオンライン上で公開していないことに気付かされます。
Appleでは製品マニュアルを非公開としている
何でもネットで調べられる時代に「修理方法のマニュアルが見つからない」ということを知ったKyle Wiensは、自分と同じようにApple製品修理の必要に迫られたユーザ向けに、「僕自身が見つけ出した修理方法をマニュアル化して販売したらどうだろう?」と思い立つのです。こういったWiensの閃きよって作られた修理マニュアルは、掲載初日に10,000件ものアクセスを集めることに成功しました。
自分で修理できないモノは、本当の意味で所有していると言えない
全てのiPhoneなどのスマートフォンや電子機器にオープンソースの修理分解マニュアルが必要だと考えるKyle Wiensは、ユーザが自分のモノを自ら修理できる社会にするためにも、「iFixitのようなWEBサービスが欠かせない」と断言しています。また自分で行なう電子機器の修理が世界的に浸透すれば、廃棄製品の燃焼によって生じる有毒ガスや地球環境破壊などにもブレーキがかかるため、iFixitには「エコ」な特徴もあるのです。
iFixitの解体メニューは日本人の運営サイトがお手本
iFixitの存在が社会的に浸透するきっかけとなったのは、日本人が運営する「Kodawarisan」を参考にして拡充を図った「Apple製品の解体方法」です。そんなiFixitの素早い動向が世界的に知られるようになった現在では、別名「バラシ屋サイト」としてAppleユーザの中で浸透しつつあります。またKyle Wiensは、2010年に「Kodawarisan」の運営者を表敬訪問しているため、iFixitは意外と日本人との関わりが強いサイトとなっているのです。
iFixit を使ってできること
「誰でも書ける、何にでも作れる無料のリペアガイド」というコンセプトを持つiFixitには、世界の電子機器ユーザ達が楽しみながら修理・分解情報の共有のできる、下記6つの機能が備わっています。
電子機器の修理分解マニュアルを探せる
iFixitのトップページにある「今日、何を修理しますか?」という窓にiPhoneやスマートフォンの機種名を入力すると、iFixitのスタッフや世界のiPhoneユーザによって投稿された修理や分解のマニュアルが一覧表示されます。ユーザによって作られたガイドの中には、難易度や手順(工程数)、所要時間なども書かれていますので、初めて修理や分解に挑戦する人でも失敗が起こりにくいコンテンツ内容と言えるでしょう。
電子機器に関する疑問を解消できる
PSPやiPhone、MacBookの修理でわからないことがある場合は、アンサーフォーラムを通して質問を行なえます。また修理分解が得意なユーザは、質問への回答もできますので、本格的なマニュアル投稿を行なう余裕のない人でも、「自分のできる範囲で修理知識を共有可能」と言えそうです。
自分の知っている知識のマニュアル投稿ができる
iFixitにユーザ登録を行なうと、Wikipediaを作るようなイメージでオリジナルの修理分解マニュアル(新ガイド)を投稿できるようになります。iFixitでは、「デバイス写真の撮り方」や「新ガイドの書き方」にも丁寧なマニュアルを用意していますので、コンテンツ品質の標準化といった意味でも「投稿する側」と「読む側」が困らない配慮がなされているようです。
既存ガイドを修正・改良できる
他のユーザが作成したガイドに誤った情報がある場合は、修正や追加によって改良を行なえます。また「マニュアル内の写真がわかりにくい」といった場合も、修正や変更ができますので、iFixitは世界中の修理分解が得意なユーザ達によって、投稿ガイドがブラッシュアップされていくのです。こういった形で他ユーザによる修正可能な仕組みは、iFixitに新規投稿する人たちに良き緊張感を与えているようです。
修理工具や部品の購入ができる
当初はマニュアル販売サイトとして立ち上がったiFixitも、現在では電子機器分解に欠かせない修理工具と人気ガジェットパーツを扱うECサイトに成長しています。おすすめのリペアガイドを開くと、分解作業で使った工具やパーツも一緒に表示されます。このサイトを使えば、Amazonや楽天市場などから購入する際に生じる「工具やパーツの選定ミス」も起こりませんので、リスク回避といった意味でもiFixitを活用するメリットは大変高いと考えて良いでしょう。
ガイドにコメントができる
iFixitには、閲覧したマニュアルに対してコメントやお気に入り登録のできる機能があります。既存ガイドの修正と比べて遥かに敷居の低いコメントは、感想や疑問を解消する場としても活用されています。また作成されたiFixitは、ブログと同じようにアクセス数が見える形となりますので、修理分解マニュアルを公開するユーザにとってもモチベーションを高める要素の多いWEBサービスと位置付けて良いでしょう。
iFixitにはコミュニティのガイドラインがある
10年近くの長きに渡ってiFixitが世界中のユーザに使われている理由は、ガイドの作成やコメントにおけるガイドラインをしっかり設けているからです。
親切で役に立つ
iFixitでは、「知的でいる、共感する、励ます」の3つの軸により、社会の人々に役立つコンテンツを提供しようとしています。このガイドラインの中では、「人々をダメにしてしまうウェブサイト」などにも言及されているため、サイトが目指す方向性が明確なところもiFixitの人気と信頼性に好循環を生んでいると考えて良いでしょう。
NGなコミュニティ例も公開している
iFixitでは、「自己顕示」と「批判的な投稿」をNGにしています。ネガティブな部分は、一般のWEBサービスと比べてシンプルなガイドラインとなりますが、「やってはいけないこと」が明確であることによって、ユーザ同士のコミュニティに適度な距離感が生まれていると考えて良さそうです。
iFixit のiPhone分解チームが日本にやってきた
アメリカのカルフォルニア州よりも16時間早く発売されたiPhone7とiPhone7 Plusは、日経テクノロジーオンライン編集部への訪問を兼ねた形で、東京にて分解が行われました。1年前に発売されたiPhone6sの分解はオーストラリアで実施されているため、iFixit分解チームのフットワークと作業の速さは世界を意識したものと言えそうです。
まとめ
今回は、自分でiPhone、MacBook、Androidなどの修理を行なうユーザに嬉しい無料のリペアガイド「iFixit」について紹介してみました。Appleや携帯キャリア会社でも非公認の「改造」に位置付けられる分解修理も、iFixitのように質の良いマニュアルを見ながら作業を進めれば、失敗が起こりにくくなると言えそうです。しかし日本国内ではユーザ自ら行なう分解修理を保証対象外としていますので、作業中に生じたトラブルについては完全自己責任になることを頭に入れた上で、部品調達などを行なうようにしてください。
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